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2021.12.13
~歴史と伝統ある新春の風物詩~山形市初市
初市の様子
山形商工会議所 中小企業振興部 地域振興課 主事 土屋直樹さん
初市参加事業者向けの説明会の様子
里之宮湯殿山神社 宮司 澁谷宣寛さん
市神神社
「初市」細梅久弥画。湯殿山神社社務所内にあり、絵をもとに陶板に焼き付けたもの。市神神社社殿内にも絵がある
十日市跡。碑と説明板がたっている
長い伝統のある山形市初市を主宰する山形商工会議所主事の土屋直樹さんにお話を伺いました。
―開催目的を教えてください
土屋 初市は江戸初期から続く山形市の伝統行事で、新年の門出を祝うイベントでもあります。商業の株の盛大を象徴するものとして野菜の蕪や、長寿を表す白ひげと称する野びるの一種をはじめ、様々な縁起物を販売し新年の門出を祝っておりました。コロナ禍ではありますが、感染防止対策を行い実施することで皆さまの新年を祝う一助になればと思い、開催することになりました。
―例年はどのような規模で行われていますか
土屋 例年は十日町から七日町までの国道112号線を約1㎞にわたり歩行者天国にして行っています。出店数も200を超えて店が立ち並びます。昔は縁起物が多かったと思いますが、今は一般露店と呼ばれるほうが半分強あり、他が縁起物、野菜、木工などです。
―例令和4年の開催について教えてください
土屋 令和4年1月10日開催の初市は開催時間を10時30分~16時30分までとし、会場を文翔館に変更いたします。販売品目は初飴、団子木、野菜の縁起物、木工品、伝統工芸の打ち刃物など、その他一般露店で合計24店舗が立ち並びます。出入口を2か所設定し、来場者は検温、消毒、連絡先の記入等にご協力いただいてご入場いただきます。同時に密対策として場内人数も上限を設けて調整いたします。また、会場内での飲食はできませんのでお持ち帰りにご協力願います。―読者の方へメッセージを
土屋 新型コロナウイルスの影響で日常の様々なことが制限されていました。初市は新年の門出を祝うイベントであり、今年を良い年にしたいという思いが詰まっています。市民の方はもちろん、県内外の方からも楽しみにしていただいていますので、主催者として感染防止対策を行い、来場される皆様に楽しんでいただけたら幸いです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
初市の神様である市神神社をお祀りする里之宮湯殿山神社の宮司 澁谷宣寛さんにお話をお聞きしました。
―プロフィールをお願いします
澁谷 昭和58年3月、湯殿山神社がこちらに遷座した時から宮司として務めています。山形県神社庁顧問、神社本庁参与、山形刑務所の教誨師や山形県保護司会連合会会長などをしております。
―山形市初市はいつ頃から?
澁谷 やまぎんカードサービスの前に十日市跡の石碑があります。元々はあそこに道路があり、その真ん中に高さ約80㎝、周囲約150㎝の安山岩の自然石がありました。最初におかれたのが約650年前、斯波兼頼公の時代で、町割の起点となる要石として置かれました。それが次第にしめ縄をはったり手を合わせたりするようになり、ご神体の扱いをされるようになりました。その石を中心として市がたったのが謂れといえます。その石が市神様のご神体です。約400年前、最上義光公の時代になると城下町と町割を整え、流通機構を豊かにするための街づくりが行われました。市神様はえびす様であり商売繁盛の神様です。ですから今年も商売繁盛するようにと正月10日にその年最初の市をたてたのです。農家の冬の野菜、山手の人の木工品や日用雑貨的な道具類、町場の雑貨類など生活必需品を売り、お互いに利便性を図ることを奨励しました。―今はこちらに市神様が祀られているんですね
澁谷 明治6年、増えてくる往来に備えて道路を整備しようと当時の関口隆吉知事が要石の撤去命令をだし、当時の県庁(三の丸跡)に移されて放置されたそうです。明治9年、県庁の移転とともに県庁舎の守り神として湯殿山神社が創建されることになりました。それにあわせ旅籠町の旦那衆が許可を得て初市の権利とともに市神様を譲り受け、湯殿山神社の一角にお祀りしたのです。昭和のはじめころは六日町から薬師町の辺りまで千軒以上の店が並んだとあります。当時の初市は新暦でも旧暦でも近郷近在の人を中心に集まり賑やかだったそうです。厄年の方は自分の年の数だけ市神様にむかって投げ銭をしてお参りしました。小銭は皆拾いに来ますので、小銭を拾ってもらうことで厄払いしたそうです。
―かぶのお頒(わか)ちとはなんですか
澁谷 野菜の大根やかぶ、白ひげは初市に欠かせない縁起物です。山形では「おおかぶになる」という言葉がありますが、蕪=株があがる、大きくなるという商売繁盛にゴロを合わせています。蕪は市神様のご神紋でもあります。初市で初蕪を買って神様にお供えし、夕方蕪汁にして食べて商売繁盛や家の繁栄などを願いました。白ひげはひげが長く白くなるまでと延命長寿の縁起物です。昔は縁起をかついだ蕪を1000株ほど差し上げていました。今は伝統風習が薄らいできて300株程度になっています。お札を求めた方には白ひげをお分けしています。―読者の方へメッセージを
澁谷 山形の初市は正月の風物詩です。それと同時に先人たちが商売繁盛、家運隆昌を祈って市を守り伝えてきたもの。商業都市山形の象徴としてこの市を守らなければなりません。コロナ禍でなにかと大変な時期、そういった伝統行事にあやかり目に見えない力のご利益をいただくとか、商売繁盛やコロナの鎮静などを祈りながら初市を迎えられると少しは心の安らぎになるかと思います。
やまはぴ2022.1月号